今や誰でも簡単にドローンを入手し、飛ばすことができるようになっていますが、どこでも、どのようにでも飛ばせる訳ではありません。
無人航空機(ドローン)の飛行には、次のようなルールがあります。これを遵守しないと、懲役や罰金といった刑罰を受けるおそれがありますので、注意しなければなりません。
無人航空機に関する法令は、主に次のようなものがあります。
① 航空法
①ー1 空域の制限
(A)空港等の周辺の空域
空港等の周辺の空域は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域です。
(B)緊急用務空域
緊急用務(警察、消防活動等)を行うため航空機の飛行が想定される場合、無人航空機の飛行を原則禁止する空域(緊急用務空域)が指定され、ホームページ・Twitteで公示されます。
(A)、(C)、(D)の飛行許可があっても、緊急用務空域を飛行させることはできません。
(C)150m以上の高さの空域
航空機は、原則として150m以上の高度で飛行することとされています。そのため、無人航空機を地表又は水面から150m以上の高さの空域で飛行させる場合には、許可申請の前に空域を管轄する管制機関との調整が必要です。
(D)人口集中地区の上空
人口集中地区は、5年毎に実施される国勢調査の結果から一定の基準により設定される地域です。実際に飛行させたい場所が人口集中地区に該当するか否かは、地理院地図(国土地理院)で確認できます。
①ー2 飛行方法の制限
飛行させる場所に関わらず、無人航空機を飛行させる場合には、以下のルールを遵守しなければなりません。
- アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
- 飛行前確認を行うこと
- 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
- 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
- 日中(日出から日没まで)に飛行させること
- 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
- 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
- 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
- 爆発物など危険物を輸送しないこと
- 無人航空機から物を投下しないこと
これらのうち、5~10のルールに合致しない飛行方法でドローンを飛ばす場合には、地方航空局長の承認が必要です。
② 小型無人機等飛行禁止法
重要施設及びその周囲おおむね300mの周辺地域の上空における小型無人機等の飛行は禁止されています。
具体的には、次のような施設です。
・国の重要な施設等(国会議事堂、内閣総理大臣官邸、最高裁判所、皇居等、危機管理行政機関の庁舎、政党事務所)
・外国公館等
・防衛関係施設
・空港
・原子力事業所
③ 自治体の条例等
都道府県、市区町村が定める条例や規則で、ドローンの飛行を制限している場合があります。
特に、公園での飛行を制限するものが多くなっています。
また、河川や海岸は原則として自由利用であり、ドローンを飛ばすことも可能ですが、河川や海岸の管理者が管理行為としてドローン使用を制限することがあります。ドローンを飛ばす場所の管理者に確認することが望ましいです。
④ 民法
民法207条には「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」と定められています。
これは、民法が他人の土地の上空の飛行を直接的に制限しているのではなく、ドローンを他人の土地の上空で勝手に飛ばすと、損害賠償請求を受けるおそれがあるということです。
ドローンを他人の土地の上空で飛行させる場合には、その土地の所有者の同意や承諾を得るようにしましょう。
おわりに
厳密には、さらに細かい規制や制限もありますが、ドローンを飛ばす際の規制と制限について主なものを説明しました。
上記の許可や承認については、ケースごとの対応が必要となりますので、お気軽にご相談ください。